近江八幡のヴォーリズ(2)

近江八幡のヴォーリズ建築の中で、

以前からずっと見てみたかったのがこの

 

旧近江八幡郵便局(1921)です。 

スパニッシュながらもどこか和風の香りがあり、

近江八幡の古い家並みの中でもなぜかあまり違和感を感じません。

この建物、1960年までは現役の郵便局として使われていたのですが、

その後は長く放置され、

玄関部分に至っては、取り壊されていたそうです。 

 

長らく打ち捨てられていたこの建物が息を吹き返すきっかけになったのは、

近江八幡で９０年代後半に、

ヴォーリズの功績を再評価する機運が高まったことです。

  

ヴォーリズの建築の真髄は、単に様式や表面的なデザインだけでなく、

住む人、そこを利用する人のQOL(Quality Of Life)向上を目指している点にある、

であれば彼の建築が語りかけるものを後世に伝えようじゃないか！

と立ちあがった町の有志が中心となって、

街中で朽ちていた郵便局の改修・再生がスタート。

 

全国のヴォーリズファンの支援もあり、2004年に復元されました。

 

この建物の最大の特徴は、

フロアの中心に外光が差し込むこの天窓です。

普通の建物の、特に一階では、

入り口から奥に行くほど暗くなるのですが、

ここは一階フロアの真ん中がとても明るく開放的です。

ヴォーリズの建築は、風の通りがよいこと、

光がよく入りこむことが大きな特徴だと言われていますが、

この建物もまさにその好例です。 

 

 

明るい階段を上り、

かつては電話交換室だった２階へ。

ここは、まだ改修が進行形のようでした。

 

レトロな窓が実にいいんですよ。 

 

 

ヴォーリズが近江八幡という土地を愛したように、

近江八幡の後世の人たちが彼を慕い、

その思いをさらに後世へと伝えようとして、

手弁当で再生した旧近江八幡郵便局。

デザイン的にどうこう、という次元を超えた、

とても幸せな建物じゃないかと思うのです。

 

 

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コメント 6

洋風のような和風のような面白い建物ですねえ〜。町の有志の皆さんが立ち上がったおかげで、こうしてまたよみがえったのですね。素晴らしいです。窓にはなつかしい折りたたみの日よけがついていますね。これも修復中なのでしょうね。ぜひこの日よけも生かして欲しいです。
by carotte (2013-05-26 20:55) 

旧近江八幡郵便局、写真で拝見するとまわりとの違和感はありませんね。
でも、中にはいるとタイムスリップしたような感じ。
関係者の方のご苦労のたまものですね。
by Jetstream777 (2013-05-26 20:56) 

確かにそれほど大掛かりじゃなく、ふつーの家という大きさのなかで、住む人、使う人のことを考えた建物に感じますね。
by ぐす (2013-05-26 21:07) 

町ぐるみで復活されてヴォーリズも喜んでいますよね～
素敵な建物！
by たくや (2013-05-28 14:18) 

追伸
おーいお茶、全然気づきませんでした。特定のコンビニ限定ですか？それとも関西限定？？？

by ぐす (2013-05-28 23:02) 

carotteさま
折り畳み式の日よけをチェックされるあたり、さすがお目が高い！ここは、どうみても洋風の建物なのに、どこかお醤油味で古い街並みにとてもよく馴染んでいました。

Jetstream777さま
タイムスリップした感じですが、中にいると不思議と落ち着くあたりがヴォーリズらしいです。

ぐすさま
お～いお茶、全国でやってます。自分はファミマでゲットしましたが、ここの街のコンビニからお～いお茶がすっかり蒸発してました！どうやら自分の同類がいっぱい住んでいるようです(笑)

たくやさま
もしかしたら近江八幡で一番ヴォーリズらしさが出ている建物は、ここかもしれないです。

by opas10 (2013-05-29 23:04)