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高輪消防署二本榎出張所 [建築、デザイン]

この夏、男ばかり二人で京都へ行った。

師匠(二男)と自分の二人である。

(宗男先生すみません、「秋篠寺本堂(国宝)」の書き出しをパクらせていただきました(笑))。

コトの顛末は8月に委細漏らさずここでレポートしたのですが、

伏見稲荷で迷宮のような参道を歩き回った際に、

寺社のすぐ横の集落でとても懐かしい火の見櫓を発見。

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以前はどこの集落にもこんな火の見櫓があり、

ちょっと大きな町の中心には消防署の立派な火の見櫓が聳えていたものでした。

高輪消防署二本榎出張所、都心でかつての消防署の佇まいを残している稀有な例です。

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1933年竣工、設計は警視庁営繕係の越智操。

現在都内に残る唯一の戦前からの火の見櫓です。

昭和59年までは高輪消防署として本署の組織が置かれ、

本署が白金台の新庁舎に移転してからは二本榎出張所となったそうです。

この界隈は高輪の坂のてっぺん、海抜25メートルの位置にあり、

新築当時は周囲に高い建物はなく、東京湾を眼下に眺望できたとか。

今は品川駅芝浦口に高層ビルが立ち並び、東京湾は全く見えませんが・・・・。

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丘の上に現れたモダンな望楼を持つ建物を見て当時の人々は、

「岸壁上の灯台」とか「海原を行く軍艦」と評したとか。

・・・というあたりの外観については、実は昨年の5月にも

建築散策@白金台、高輪(2)」で取り上げたことがありますが、

今回はついに内部を見学してきました。

うれしいことにここは、見学希望者に内部を公開しているのです。

1階の受付で手続きを済ませて階段を上り、

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まずは2階の事務所を見せてくれます。

あまりに普通の事務所なのと

普通に仕事をしている人(休日勤務)もいるので、実は慎み深いopas10は(笑)遠慮して、

木製の窓枠なんぞを撮影。

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3階の講堂は、8本の梁が天井の中心に集まる構造。

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この意匠からこの建物はドイツ表現主義に分類されているそうです。

外観だけ見ていると、朝香宮邸にもやや近いものを感じるので

アールデコ系かと思っていました。

ちなみに壁面に取り付けられている照明器具は、典型的なアールヌーボー。

なんとガス燈だそうです。

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天気がいいので3階の屋上に出してもらい、望楼の部分を撮影。

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窓の形がいいですねえ。近づいてみると窓や壁面はしっかりと補修の手が入っていました。

長く使い続ける意思が感じられてとても嬉しい。

さすがに望楼の上には登らせてもらえませんでしたが、

こんな階段を上っていきます。

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玄関ホールの照明もアールヌーボー。

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消防署といえばただでさえ堅いお役所の中でも、

警察と並んで「カッチンカッチン」に堅い役所ということもあり、

建物見学というと迷惑者として扱われることを予想して、

やや及び腰で行ったのですが、

対応してくれたベテランの職員さんは、とても親切に丁寧に応対してくれました。

しかもこの建物に誇りを持っているようで、

関心を持ってくれる人がいることをむしろ喜んでくれているように感じられました。

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コメント 2

あおい君と佐藤君と宗男議員

おお!
中を見学なされたんですね~。
階段がいいですね~。
それに、ガス灯とは珍しい。
電気が止まった時の、非常用照明でしょうか?(笑)
消防は警察と違って、とっても親切ですよね。
そうそう、入り口で記名されましたか?
あとで、郵便がきて「あなたは消防隊ボランティアに入部されました」と連絡が来ます。
いや~、嘘ですよ~。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-10-17 23:03) 

opas10

宗男先生

2階から3階へ上る階段もラウンドしていてものすっごいいい味出しているのですが、撮影しようとしたら職員の人が二人も並んでしまったので慎み深いopas10は断念しちゃいました(笑)。ちなみに見学後、港区在住かどうかを聞かれたので、区民だと消防団員にスカウトされるかもしれません(笑)
by opas10 (2009-10-18 10:45) 

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