神田・旧村木商店 [建築、デザイン]
「近代建築探索」を銘打っている当ブログですが、
今年に入ってから新春第一弾の「東京工業大学」以降は、
広島カープに出雲・松江と、建築以外のネタが続いています。
実はこれ、 「ネタ切れ」 が原因だったのです(笑)。
なにしろ建築写真撮影の移動手段は”自転車”なので、
寒風吹きすさぶこの季節に遠出は大変に厳しく、
実は昨年も一昨年もこの時期は、散策ネタや海外ネタ、
そして冬眠前(?)に仕入れたネタを小出しにしていました。
今年は、手持ちのネタも尽きてきたし、日差しも暖かいし、
ということで例年より早く2月11日に、今年最初のチャリ遠征を敢行しました。
いつものように、日比谷公園の横を抜け、内堀通りを走り、
神田の裏道を岩本町方面に向かっていると、
須田町の裏道で、いつもとちょっと違う眺めが
視界に引っかかってきました。
昨年の秋まで建物があったところが駐車場になっており、
今まで見えなかったアングルから
あの気になる建物が見えているのです。
旧村木商店(建築年不詳)。
手掛けたのは、あの明治生命館や歌舞伎座を設計した岡田信一郎。
opas10を近代建築ヲタクにした、まさにあのお方。
この建物、4年前にチャリでこの界隈をウロウロしていて発見。
装飾のディテールがタダモノでないこと、
ロマネスク(?)なファサードのバランスも素晴らしく、
町の棟梁が洋風な建物の真似をしたイカチン様式建築では
到底為し得ないレベルの意匠であることから、
猛烈に心のフックに引っかかったのでした。
その後、岡田ファン様の「近代建築ホームページ」にある
「月刊岡田信一郎 増刊10」の記事で、
この建物が岡田の手によるものであることを知り、
思わず膝たたいちゃいました、ポン(笑)。
隣が更地になったことにより、
これまで隠れていた側面の構造も明らかになりました。
3階部分が神田の定番、マンサード屋根なので
マニアとしてはついついニヤリとしてしまいます。
この界隈は戦火を逃れたおかげで、
古い建物がまだまだ残っています。
旧村木商店の隣には、モルタル看板建築が3軒並んでおり、
中でも「びいんず」、「秋田接骨院」のファサードは秀逸。
さらにこの向かい側には、
漆喰壁、小ぶりな出桁造りの老舗まで残っています。
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旧村木商店の横壁のトタン板の中に、あのパリのあちこちにあるマンサール様式(フランス語だとマンサール)の屋根があるなんて感動的ですね。オリジナルは左端にもう一つ窓があったような......。ファサッドに緑の網がかけられてますが、だいぶ古くなって危ないんでしょうね。イヤな予感が......取り壊し???
by carotte (2012-02-13 16:43)
carotteさま
不思議なことに神田のあちこちにマンサードもといマンサール屋根があるんですよ。下町・神田と花のパリは繋がっている?そういえばすぐそばのお茶ノ水もかつて日本のカルチェラタンなんて呼ばれていましたね。旧村木商店は、初めて発見した3年前からずっとネットを被っていて、最近はちょっと緊張感が緩んできました(笑)。
by opas10 (2012-02-18 19:41)
神田界隈は一歩入ると不思議な空間がありますよね♫
久しぶりに散歩したくなりました。。。
次回の上京時に・・・(^w^)
by rtfk (2012-02-19 07:22)
rtfkさま
神田界隈、ホントに時間が止まったような不思議な空間がまだまだ残っていますね。村木商店の近くでは、銅板看板建築のミルクホール、サカエヤもまだ健在です。
by opas10 (2012-02-19 14:52)
ああ、あの建物の裏はこうなっていたのですね。
これはまたJR神田駅から神保町まで歩かねば。
とはいうものの、今度何時上京できるのやら。
by タナヤン (2012-02-28 22:24)
タナヤンさま
ここもご存知でしたか、さすがお目が高い!それにしてもこの光景、たぶん70~80年ぶりなんじゃないでしょうか。
by opas10 (2012-03-04 14:41)
はじめまして。
この建物は20年近く前に見た時すでに廃墟のような状態になっていたので、まだ建っていたというのも驚きなのですが、側面の状態が分って非常に興味深いですね。
by 御光堂(pulin) (2012-03-19 19:16)
祖母の実家の店でした。
築地移転問題を検索中、見つけました。母の祖父が築地の前身である日本橋魚河岸に関係のある商人だったことは、母から聞いていたので、まさかと思いながら、旧村木商店の写真を送ってみたところ、そうだと。
思いがけない発見に母も懐かしがっておりました。
by さいたま市の住民 (2016-09-04 22:41)