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8月の金沢(5) [散策録]

朝日新聞の夕刊には、毎週火曜日に「ニッポンの宝さがし」という

各都道府県のお宝を探訪する記事が連載されています。

9月6日(火)は、滋賀県のお宝ということで

ウィリアム・メレス・ヴォーリズの代表作「旧八幡郵便局」と「旧豊郷小学校」が、

 「古き良きヴォーリズ建築」のタイトルで紹介されました。

近江八幡の街中には、ヴォーリズの手による建築物が今でも20軒近く残っていますが、

「旧八幡郵便局」はその代表格と言える建物です。

そして「旧豊郷小学校」は、記事の中でも

「けいおん」の舞台となったことでアニメファンの聖地になっている、

と紹介されていました。

最近は、そうした「聖地」ネタで紹介されることが多い豊郷小学校ですが、

建物自体の美しさとインテリアのディテール(こちらの写真が一番美しいと思います)は、

まさに一級品。

そして、この学校建設のために莫大な私財を投入した古川鐵次郎さんとヴォーリズが、

この学校にこめた「思い」(こちらから)こそが、

「古き良きニッポンのお宝」じゃないのかな、思うのでした。

ちなみに記事は、

聖地巡礼で豊郷小学校を訪問する男子中高生を見る地元の人が、

「この子たちもヴォーリズに興味を持ってくれたら」と苦笑していた、

で結ばれていました。

(自分はその正反対のパターンだが・・・・笑)

 

さて、湯涌温泉探索の続編です。

山奥に向かって歩き出した師匠、坂道を3分ほど歩いて着いた場所は・・・。

 

kana5-2.jpg

山に囲まれたこじんまりした「玉泉湖」、人造湖です。

かつてこの地に、東洋一と称された超豪華温泉旅館「白雲楼ホテル」が建てられた際、

その敷地内に造られたのがこの玉泉湖。

その「白雲楼ホテル」は、バブル崩壊後に倒産。

文化財にも登録された建物は、所有者が転々とする間放置されたため、

すっかり荒れ果ててしまいました。

地元の観光協会が落札したときにはもう手遅れで取り壊すしかなく、

この玉泉湖だけが残ったのでした。

 

さあて、ではもう戻って温泉に、

と思ったら師匠はさらに山道をスタスタと・・・・。

旧白雲楼ホテルの敷地を整備した遊歩道があり、

高台にあったホテルの跡地まで行けるようになっているとのこと。

遊歩道とは名ばかりの山道を、

宿の下駄ばきで汗だくになって登ること10分、

結構な高台まで登るとこんな絶景が待っていました。

kana5-3.jpg

 

旧白雲楼ホテルの正面エントラス部分は、

あのフランク・ロイド・ライトが設計したと言われています。(写真はこちらから)

しかし、白雲楼が竣工した年代(1932)、またライトと日本との関わりからすると、

実際に設計したのはライトでなく、

ライトの愛弟子で名作「甲子園ホテル(1930)」を手掛けた遠藤新ではないか、

と推測しています。

 

その白雲楼の跡地は、草ですっかり覆われかつての栄華は全く見る影もなし。

ただ、温泉街を見下ろす絶好のロケーションだったことだけは

今でも伺い知ることが出来ました。

kana5-4.jpg

 

予想外の山歩き(!)で全身の水分が汗となり、Tシャツは再び濡れタオル状態。

ようやくホテルに戻り、温泉に浸かり極楽極楽。

露天風呂からの眺めも最高なのでした。

kana5-5.jpg

(つづく)

 

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コメント 4

carotte

落ち着いた佇まいに見えるのは、建物が景色に溶け込んでいるからでしょうね。白雲楼ホテルは、もったいないことしました。写真を拝見すると、個人的趣味からいくと、ちょっとどうかなと思う部屋もありますが、^^; それでも十分に魅力的ですね。諸事情があってこうなってしまったんでしょうけど、残念です。
by carotte (2011-09-11 17:59) 

opas10

Carotteさま
白雲楼のインテリアは、ちょっと引いちゃうところもありますね(笑)。所有者に恵まれないと、どんなに由緒ある豪華な建物でもあっという間に興廃しちゃうんですよね。


by opas10 (2011-09-13 22:41) 

cjlewis

白雲楼ホテル、、、もったいない話ですね。
見てみたかったです。
文化財にも登録されていたなら、国や自治体が早く手を打たないと!
こういうところ、日本はダメですねぇ。。。
by cjlewis (2011-09-14 14:38) 

opas10

Cjlewisさま
白雲楼、本当に勿体ないことをしました。資産価値がどこにあるのかを本当に理解していたら絶対に放置しないと思うんですが・・・。日本では歴史ある建物の資産価値が理解されていないですね。
by opas10 (2011-09-17 11:09) 

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