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洲崎の痕跡 [建築、デザイン]

先週は突然の猛暑ですっかり干からびました。

金曜日の午後、猛暑の品川駅構内を歩いていると、

設置されたモニターが、東電管内電力消費量の91%(!) に達したことを表示しており、

こりゃあ一歩間違うとBlack Outじゃのう、と一瞬背筋が寒くなりました。

どうやら最悪の事態は免れたものの、

この夏は午後1時から4時までの間、日々こういう綱渡りをしていくんでしょうね・・・。

せめて先月のように、こんな感じで街中にけいおんが溢れていたら

k-o.jpg

暑くても少しは気が紛れるんですが(自分だけ?・笑)

 

さて、まだ街中にけいおんが溢れていた5月下旬、

たまには正統派じゃない路線の建築物も巡ってみんべえか、ということで

以前に洲崎パラダイスの痕跡が建築物として残っている記事を思い出しました。

洲崎、といえばかつては吉原と並ぶ色街として栄え、

プロ野球黎明期には、大東京ライオンというプロ野球のチームが

洲崎球場をホームグランドとしていたくらいの一大歓楽地でした。

戦後も暫くは栄えたものの、

1958(昭和33)年の赤線、青線廃止により徐々に住宅地になり、

1967(昭和42)年の町名変更により、

地図上からも洲崎の名前が消えてしまったのでした(現在は東陽町一丁目)。

 

かつて洲崎大門があったという大門通り沿いは、

古めかしいアーケードの商店街があります。

旧遊廓時代の名残がきちんと残っていました。

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武蔵屋さんの2階部分に付いている「鶴亀」は、廓の時代の屋号でしょう。

さらに、最も目立つ建物はこちら。

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戦後にGHQの目をくらませて遊廓としての営業を行うため、

表向きは「特殊喫茶」という名称に鞍替えし、

しかも普通の喫茶店とは明らかに違う演出をするために、

外壁をタイル貼りにしたり、壁面をアールにしたり、付け柱をしたりという意匠を施したようです。

taiga8.jpg

アーチの部分にある額縁部分には廓の屋号が入っていたものと思われます。

2階部分がちょっとしたバルコニーになっています。

たぶんオネエサンがここに腰掛けてお客を手招きしていたことでしょう。

taiga9.jpg

この照明器具がどのような機能と演出をしていたのかはちょっと不明ですが、

建物の意匠のアクセントにはなっています。

 

さらに大門通りを進むと、道路の反対側にもう一軒、

妙に演出過剰なカフェー建築が。

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上層階をアップにしてみました。

taiga5.jpg

カフェー建築の真髄は、「ローコストでモダンかつ華やかな雰囲気を演出する」 こと。

即ち、キッチュであることが宿命だったわけなのです。

なので、どこか看板建築と似た匂いを感じるんですよ。

 

さて、今回一番見ごたえの合ったのがこちら。

洲崎遊廓の中でも一番の格式を誇ったという「大賀楼」跡です。

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カフェー建築の典型ともいえる様式を備えています。

建物の角は円柱、そしてタイル貼り。

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「大賀」と書いて「タイガ」と読ませていたそうです。

taiga3.jpg

最近のレトロブームのせいでしょうか、

地図を片手に歩きまわっている人が結構いました。

 

洲崎は、こうしたカフェーだけでなく商店でもシブイ物件が結構残っていました。

この酒屋さんの店構え、ちょっとした遊び心が感じられ、

taiga10.jpg

遊廓時代の繁栄ぶりを偲ばせてくれます。

 

 

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コメント 5

carotte

どれも面白いですね。
それにしても皆かなり古くなってますね。いずれ姿を消してしまう運命なのでしょうか?今のうちに修復して保存....と思いつつも、この黄昏れた感じがいいのかなと思ったりで、複雑ですね。
by carotte (2011-06-26 21:00) 

八犬伝

洲崎、まだまだあの当時の風情があるのですね。
行こう行こう
と思っていながら
まだ、行けてないのです。
by 八犬伝 (2011-06-26 22:23) 

rtfk

あのあたりにこのような雰囲気の一角があるとは知りませんでした~^^)
by rtfk (2011-06-27 16:47) 

cjlewis

洲崎、、、今のどのあたりでしょうか。
GHQの目をくらませて、、、って、そういう状況下でも、
必需品だったわけですね。
それが復興の大きな力になったとか!?
遊郭って、思ったよりもミニマムだったんだなという印象。
でも、それぞれに個性的な趣向を凝らして、おもしろいですね。
by cjlewis (2011-07-01 19:11) 

opas10

carotteさま
ちょっとうらぶれたような、黄昏感がまたいい味出しているんですけど、さすがにそろそろちゃんと手入れしないと・・・という時期ではありますね。最近変貌著しい木場、東陽町界隈だけに、再開発の波が押し寄せてこないことを祈るだけです。

八犬伝さま
洲崎界隈は、間違いなく八犬伝さまのツボにはまると思いますよ。地下鉄の木場駅から徒歩で5分程度だと思います。結構近場なんですよね。(自分は相変わらず酔狂にも自宅からチャリで1時間ちょいかけて走りましたが・笑)

rtfkさま
東京の下町は、本当に侮れませんね。意外なところが昔は開けていたりして、あちらこちらに穴場があったりします。

Cjlewisさま
最寄駅は木場で、今の住所だと東陽町一丁目、永代通りの海側のエリアになります。かつては東京の外れだったんでしょうね。明治以降の東京では、お金持ちの粋人は吉原に遊び、庶民は洲崎で遊んだそうです。主に下町の職人相手の街だったので、建物もキッチュで、その分面白かったりするんですよ。
by opas10 (2011-07-02 12:16) 

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