クラシックな「文京区元町公園」 [建築、デザイン]
猛暑もようやく落ち着き、
「けいおん!!」の放送終了がカウントダウンに入った9月中旬、
しばらく忘れていた本題、「自転車での近代建築探索」を再開することにしました。
ますは、5月連休に訪問してすっかり気に入った本郷、
その中でも未踏の地である東大・本郷キャンパスへと向かいます。
本郷に向かう途中、神田でちょっと寄り道。
学士会館です。1928(昭和3)年の竣工。
構造設計は佐野利器、意匠設計は高橋貞太郎。
ちなみにここに立ち寄った理由は、
近代建築の名作ということもありますが
実はこの場所が東大の発祥の地だからなのでした。
東京大学は、神田錦町にあった東京開成学校と、
本郷元富士町にあった東京医学校とが合併して
1877年(明治10年)に創立されました。
本郷富士町にあった医学部を除く法・文・理の三学部は
1885年(明治18年)に本郷へ移転するまで、
学士会館のあるまさにこの場所にあったのです。
てな東大の起源はさておき、学士会館の最大の特徴は
当時としては珍しく鉄筋コンクリート構造であることと、
窓が上層階ほど開口部が狭くなること。
構造の大家、佐野利器の設計だけあって
当時としては珍しい鉄筋コンクリートなのはもちろん、
建物の強度を保つために壁面開口部を上層階ほど小さくしています。
学士会館のある神田錦町から神保町を通り抜け、水道橋に出て、
神田川沿いにお茶の水へ向かう坂を上る途中でもう一カ所寄り道。
「文京区元町公園」です。
これは東大とは関係アリマセン、単なる個人的趣味(笑)。
昭和5年に開園した「震災復興公園」で、
当時の原型がそのまま残っている稀有な例です。
階段を上ると正面に見えるのがアーチの壁泉。
これは典型的なルネサンス様式じゃのう、と思って横を見上げると
大谷石の擁壁。
「え、これってゼセッションじゃん?」と思わず声が出ちゃいました。
階段を上りきるとまず目に入るのが
これまたルネサンス庭園の定番カスケード(水階段)。
最上段の手洗い水が流れ落ちてくる構造のようですが今は草ボウボウです。
でも本来は、水が滔々と流れることを想定して設計したのでした。
結果はどうであれ、その思想は素晴らしい!!
目を転じると園内のいろいろなところに「+」のマーク。
赤十字か??
中段の広場にあるパーゴラは太い柱が印象的です。
数年前に取り壊しされそうになる危機的状況があったそうですが、
さすが文京区、施設の価値をきちんとわかっている住民の反対のおかげで
取り壊されることなく現在も開園当時の姿を残してくれているのでした。
あっ、この公園
行ったことが、あります。
落ち着いた雰囲気の公園ですよね。
by 八犬伝 (2010-10-03 22:29)
学士会館は勤め先が近くにあった関係で昔は毎日のように見てましたが、こうやってじっくり見てみるとまた味わい深いものがありますね。
文京区元町公園、風情のあるいいところですね。十字は謎ですが、あのような石壁、昔よくみかけたような気がします。
by carotte (2010-10-04 09:36)
八犬伝さま
すでにご訪問ずみでしたか、さすがお目が高い!水道橋の喧騒とは全く異質な、タイムスリップしたような空間ですよね。
carotteさま
この界隈、名建築が結構あったのですが如水会館は新築になり、博報堂本社はすっかり更地になり、今残っているのはこの学士会館くらいです。あと10年早く建築に目覚めていたら、と後悔しきりです。
by opas10 (2010-10-06 22:39)