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上野のアールデコ商店建築 [建築、デザイン]

建築マニアになる前のopas10にとって上野という町は、

東京の東北、だとか、時計の針が昭和40年代で止まった町、または不良イラン人の溜まり場、

果ては、薔薇関係のみなさんのハッテン場の映画館がある町、という

野暮でデンジャラスなイメージが強くて、

余程の要件がない限り寄りつかないような場所でした。

ところが、いったん建築系に目覚めるとこの町はものすごい宝の山で、

テレカ偽造(懐かしい・・・)のイラン人がうろついていようが

レゲエのおじさんが屯ろしていようが全く無視してズンズン歩き回るようになっていました。

上野の山には、岡田信一郎、コルビジェや前川國男といった

「大御所」の手による名建築が目白押しですが、

山の麓の商店街にもなかなか趣のある建物が残っています。

「堺屋」、1929年竣工で設計者は不詳。

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外壁は、昭和初期に大流行したスクラッチ(引っかき傷)タイル。 

このスクラッチタイルについては、opas10が一方的に師と仰いでいる

「あおい君と佐藤君と宗男議員」が昨日アップされた「山本有三記念館」の中で

詳しく解説されています。

ちなみに今日の昼間にopas10が玉川上水ベリを自転車行脚している際に

山本有三記念館を発見し、当然のように吸い寄せられたのですがそれはまた別の機会に。

さて、この「堺屋」さんは江戸時代から続く老舗の酒屋で、

関東大震災後に不燃対策として外壁にスクラッチタイルを採用したとか。

アールデコ調の曲面とアクセントの丸窓が何ともいえずいい味をだしてます。

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どうやらこのネットはタイルの落下防止のためにかけられているそうです。

モザイク処理みたいで(?)ちょっと残念。

ガラスと鉄の加工技術が現在ほど進んでいなかった当時にこの曲面を手がけるのは

設計者にとっても施工者にとってもなかなか実験的だったことでしょう。

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ディテールを見ていると素材や加工技術に恵まれていない時代だったからこそ、

知恵と技を凝縮した丁寧な仕事ぶりが非常に魅力的です。

さて、堺屋さんから徒歩一分のところにあるのが「黒沢ビル(小川眼科病院)」。

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こちらは1931年の竣工です。

内部には鳩山会館なども手掛けた小川三知のステンドグラスがあるそうです。

ちなみに小川三知は、竣工時の小川医院の院長の弟だそうで。

そういうわけでもないのでしょうが、窓の形がなんとも面白く、

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特に真ん中の窓は昔の空想科学本に出てくる「火星人」の目のような形をしています。

右側の窓の上には腫れぼったいまぶたも!!

 


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あおい君と佐藤君と宗男議員

小川三知のステンドグラスは、最近脚光を浴びていますね。
これからどんどん掘り出し物が出てきそうです。
図柄がちょっと和風なのがいいんでしょうかね?(鳩山邸)
洋館に和風のステンドグラス……
この組み合わせもぞくぞくします。
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-10-14 10:53) 

opas10

宗男先生

スクラッチタイルで勝手にお名前を出させていただき失礼しました。実は江戸東京たてもの園まで自転車遠征を目論んだのですが、山本有三邸があまりに面白く、そこで引き返しちゃいました(笑)。
by opas10 (2009-10-16 21:51) 

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